症状カルテ
顎関節症
顎関節症(がくかんせつしょう)とは
医学的な定義では、「顎関節症とは、顎関節部や咀しゃく筋等(咬む筋肉)の疼痛、関節音、開口障害ないし顎運動異常を主要症候とする慢性疾患群の総括的診断名であり、その病態には咀しゃく筋障害、関節包・靱帯障害、関節円板障害、変形性関節症などが含まれる」とされています。
つまり、顎(アゴ)や顎周囲の筋肉に何らかの痛みや音、動きの異常があることです。
顎関節症(がくかんせつしょう)の原因
(1) 悪い姿勢
パソコン作業や長時間座っていると多くの人が猫背姿勢になり顎が前に突き出た状態になってしまいます。この姿勢は顎の関節の適合性を悪くし、この状態が長く続くと関節に炎症が起きたり、顎の動きに異常が起きたりします。
(2) 悪い癖
食べ物を食べるときに片側だけで咬む、スポーツなどで歯を食いしばる、歯ぎしりをする、頬杖(ほおづえ)をつく、テレビを見るときに真正面ではなく首を捻りながら見る、顎関節症でお悩みの方の多くが長期に渡りこのような悪い習慣を続けています。悪い癖をなおさなければ、治療をしても根本的な解決には至らず再発してしまいます。
(3) 精神的なストレス
顎関節症で悩む人を対象にした研究では、精神的ストレス度が高く自律神経失調症など大脳レベルの問題を抱えるケースが多いという結果が出ています。おそらく、精神的なストレス度が高い人は、歯ぎしりや食いしばることが多くなり、関節や筋肉に過度のストレスを与えていることが考えられます。また、顎の問題が大脳に悪い信号を伝え、自律神経に影響を与えている可能性も考えられます。顎の関節や筋肉には、脳神経が直接関わっているため、大脳への影響が大きいのでしょう。
(4) 外傷(怪我)
ボクシングなどの格闘技やアメリカンフットボールで顎に直接的な外力が加わったり、サッカーや野球などでボールが顔に当たることで顎に大きなストレスが加わります。転んで顔をぶつけたりすることも原因の一つです。軟骨や関節円板と呼ばれるクッションが傷つき、炎症が起こることがあります。
(5) その他の病気
顎関節症を引き起こす可能性がある病気もいくつか存在します。代表的なものに、虫歯、関節リウマチ、多発性筋炎、線維性筋痛症、自律神経失調症、クリペルフィーユ症候群、パジェット病などがあります。
全身に影響をおよぼす顎関節症(がくかんせつしょう)
顎関節症の症状は多岐にわたりますが、以下の2つに分けることができます。
(1)限局的な症状
頭痛 / アゴの痛み / アゴ周囲の筋肉のコリ / かみ合わせのズレ 顔のゆがみ / コリコリやギシギシした音がする
(2)全身的な症状 首・肩のコリ / 目の疲れや視力低下 / 顔や顎のしびれ / 自律神経失調症 内臓機能の低下 / 頭痛 / 慢性疲労症候群 /めまい/ 耳鳴り / 不眠
このように顎が悪くなるだけで、意外にも全身の症状につながる可能性があるのです。顎関節とその周囲の筋肉群には脳神経(三叉神経)が感覚や運動信号に関わっているため、何らかの異常があると脳に大きな影響があります。また、顎の異常はかみ合わせを悪くし、頸椎の傾きにも影響を及ぼします。この結果、身体のバランスが崩れるのです。つまり、大脳レベルでの神経学的な影響と、骨格バランスからみた構造学的な影響の両面から異常がおこることになるのです。
顎関節症(がくかんせつしょう)と医学的治療
顎関節症の医学的な治療は、保存的な治療法と侵襲的な治療法(手術)があります。保存的な治療法には、マウスピースやスプリントでかみ合わせや歯を矯正したり、温熱療法で患部を温めたりします。また、鎮痛剤のお薬や、注射をすることもあります。侵襲的な治療法には、関節腔と呼ばれる関節内の空間を洗浄したり、内視鏡下での手術をしたりします。
カイロプラクティックでの顎関節症(がくかんせつしょう)の治療
顎関節症に対するアプローチには以下の4つがあります。
(1) 顎関節の動きを整えるアプローチ
顎の関節の中には、関節円盤とよばれるクッションや潤滑液が入っており、関節を関節包という靭帯性の組織が覆っています。関節円盤の動きや潤滑液の粘性、関節包の柔軟性が悪くなると、コリコリなど異常な音がしたりカクンとした異常な動きがでたり、痛みを生じたりします。そのため、原因が関節自体にある場合は、手技や特殊な機器を使い顎の問題を改善させていきます。
(2) 顎関節に直接関わる筋肉群に対するアプローチ
顎関節症で一番多い原因は筋肉のアンバランスや過緊張によるものです。それは、話したり食べ物を食べるために顎の関節を動かすのは筋肉で、毎日かなりの負担が筋肉にかかることが原因だと思われます。
顎関節には、大きく分けて顎を開く筋肉と閉じる筋肉の2つがあります。顎を開く筋肉には外側翼突筋、閉じる筋肉には咬筋、側頭筋、内側翼突筋などがあります。
(3) 顎関節に大きく関わる頸椎に対するアプローチ
米国を中心に、カイロプラクターと歯科医が協力して頸椎と顎関節の問題の治療・研究が進められています。それほど頚椎のゆがみは顎の運動力学に影響をあたえ、左右の顎の開きリズムを崩してしまいます。また、顎の問題のために頸椎にゆがみや痛みを生じさせることもあります。臨床的には、第2頸椎のゆがみが顎の力学に一番影響があることが分かっています。また、脊柱や骨盤のゆがみは、身体の土台を崩し、結果的に顎関節にまで影響を与えることがあります。そのため、顎関節治療の際には必ず姿勢・脊柱・骨盤関節のゆがみを検査します。
(4) 顎に対するストレッチやエクササイズ
ある程度治療を進めていった段階で、ご自宅でも簡単にできる顎関節や筋肉群に対するストレッチやエクササイズを行っていきます。慢性的に顎が悪くなっていた方や、治療効果促進、再発防止にはとても効果的です。
これまでに骨盤矯正を行った症例・治療例
顎関節症の頭痛(20歳 女性 ファーストフード店勤務 駒沢在住)
患者様のお話
もともと顎を開ける時に「カコッ」という音がなり、違和感がありましたが、仕事を始めた3ヶ月前からその頻度が増えてきました。また、この1ヶ月は顎を空けるたびに頭痛が出るようになりました。頭痛は右の側頭部や目の奥に締めつけられるような痛みです。顎を大きくあけると強い痛みが出るので、食事を取るのが怖くなりました。歯科では顎関節症による影響だと言われ、治療を行っているがあまり変化を感じていません。
初診時の症状
- 右側頭筋(側頭部)の圧痛あり
- 右頚椎1番を圧迫しながら口を開けると頭痛なし。クラック音はやや減少
- 右頚部前面(胸鎖乳突筋)の緊張と圧痛あり
施術の経過
顎を空ける時に頭の根本(上部頸椎)を圧迫すると空けやすくなり、「カコッ」というクラック音も小さくなることから、頚椎の1番目の動きを良くするような調節を行いました。
調節後は楽になりましたが、3日後には元の状態に戻ってきたので、2回目の来院時には簡単なエクササイズを処方しました。1週間後の3回目では頭痛は週に2~3回ぐらいまで頻度が減りました。
その後、週1回の調節を2回ほど続けて、頭痛は無くなりました。顎の音は小さくなったものの、完全には無くなりませんでした。今は歯科と併用して月に1~2回の調節を継続中です。
担当カイロプラクターのコメント
顎関節症は成人女性の2割(男性は1割)ほどの割合で発症する顎の症状です。
顎は肩、鎖骨、頭、首と筋肉でつながっているので、顎自体の問題だけでなく、肩こりや肩の痛みでも悪くなることがあります。今回のケースは体のバランスを司る固有受容器が沢山分布している首の骨(頚椎)のバランスが崩れていたことと、肩こりが原因で元々不安定だった顎関節のバランスが更に悪くなり、今回のような症状が現れたと考えられます。頭痛は改善しましたが、顎の音は顎関節の問題が大きいので完全には無くなりませた。んでし
顎関節症はカイロプラクティック治療で効果ある場合が多いので、お困りの方は一度スパイナルケアまでご相談ください。
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